岡林 孝次

八ではなく人

頭でいつも考えていること。

それは間違いなく、人のこと。

 

 

特に最近は、人との関わり方についてどうあるべきか、どう在りたいかを考えさせられる機会があって、頭がいっぱいになってしまいそうになる。

限られた人と関わりを半ば強制的に持たなければならなかった環境の高校時代や社会人になって新米の頃、未熟過ぎた自分にとっては、たまーに人との関わりに少し疲れて、世間や社会生活からちょっと距離をとりたくなったことが何度かあった。

実際に、お腹が痛くなって、頭がフラついて外に出られずに休む日も何度もあった。

でも、家族以外の人で支えになってくれた人が必ず近くにいて、実は結構たくさんいることに後で気がついた。

気にしていたのは、自分だけだったのかと後から思い返すことができて、なんとかその時の壁をぶち破ることができたのかなと振り返る。

 

 

仲間というと、抽象的過ぎるけど、人生の中で同じ時間、空間を過ごす集団は、やっぱり仲間といえるはず。

仕事や生活でのターニングポイントで影響があるのは、必ず近くで陰ながら支えてくれている人。その人から受ける言葉。

すごく力になるし、後からじわじわと支えになる。

 

かつての上司もそのひとりで、厳しさの中に思いやりが溢れていた。

その時の言葉は一生忘れないものになり、自分の中の芯になる。

 

壁にぶち当たった時は、自分の小ささを突きつけられるが、それを認めてからは、ある意味で開き直って「自分は自分」と言い聞かせて、また歩き出すしかない。

 

ある時から、他人と比較することは一切しなくなった。

地位や名誉も一切、求めなくなった。

自分にとっては、そこを重視して生きていないし求めていないことだから。

 

社内営業は、一切しない。自分の役割や人への配慮はできるだけ考える。

 

サラリーマンとしては失格かもしれないが、その労力があるならば、社外の大切なお客様に時間をつかうことを優先する。

何かの本で読んで、なるほどと思って20代後半からは一切社内営業はしなくなった。

たまたま今までの環境や会社に恵まれたと思うが、会社の経営に関わる人とでも対等な関係を築くことができて

年齢に関わらず後輩たちにも対等に向き合ってきた結果、

ある時からまわりからは、バヤシには上も下もないと言われるようになった。

 

 

すべてを否定するわけでは決してないが、どれだけいい役職で、いい待遇であっても、なんの役にも立たないし飾りでしかない人も一部に存在して、そんな人に限って威張って存在感をアピールしている姿をみると、うーん。

ダサいなあ、あんな大人には絶対になりたくない。

滑稽だなって思ってしまう。

それよりは、そんなものがなくても責任感と信念を持って頑張っている人の方が、何百倍も尊敬できるし心を打たれることが多くあった。

 

現代社会では、コミュニケーションや情報発信の手段の一つとして、SNSやインターネットの活用が核となり

人との関わり合いが希薄化してきていると感じざるを得ない。たぶん自分も年々そうなってきている。

 

コスパに加えて、タイパというワードを聞くたびに、希薄化する人との関りの加速が感じられて

少し寂しい気持ちになってしまう。

 

昨今では、AIに仕事を奪われるのではないかと、今後のビジネスパーソンに課題が突きつけられて、実際に

会社は効率化と働き方改革によって、乗り遅れないようにと導入する動きが目立ってきた。

 

実際は、技術職以外のほとんどの仕事がAIでの処理に置き換わることは、疑う余地はないと思う。

 

能力では、AIにはムラがある人間の知能やスキルで勝てるわけがない。

 

「じゃあ、全部AIに任せてみましょう!」 とはいっても、やはり人と関わる分野では

人の気持ちを汲み取って、細かな配慮ができるのは、人の心でしかないと思いたい。

 

 

漢字を習いだしたとき、人はヒトとヒトが支え合って、人という字になっていると誰かにきいて

あまり本当の意味まではわからなかったけど、『お互いに支え合うことで生きていくのが、人』

であることを少し誇らしく感じた記憶がある。

 

ずっと若いとき、今までも挫けそうになった時は、必ず人の力と言葉に支えられてきた。

 

たった二画の人の字が、離れてしまって八の字になってしまっては、末までは

広がらない未来になってしまうのではないかと、今後の社会全体を勝手に危惧してしまう。

 

 

何が大事で、何によって人生が満たされるのか、幸福感が得られるのか、

人それぞれに価値観が違って当たり前だけど、普遍的に変わってはいけないものを

できるだけ大切に私は考える。

 

これからもそんな気持ちで人に関わっていこうと強く願いたい。

 

 

いつも支えてくださるお客様や身近な人には、本当に感謝しかない気持ちでいっぱいで

少しでも、何かで恩をお返ししていくことが、今まで支えてくださった人への恩返しにつながると信じて

日々が過ぎて、また新たな出会いにつながっています。

 

 

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