石川 暁章

「ヒーローはいつも遅れてやってくる」

 

刑事モノや特撮モノであろうが、時代劇であろうが、極悪非道の悪党は最後に追いつめられて叩きのめされる勧善懲悪の世界。

それを見ていた家族は溜まりに溜まった胸がすくような気持ちになり、ブラウン管の前で静かにお茶をすする。

だいたい残り15分で成敗されるのが通例で、子供の時の懐かしい昭和の家庭の光景です。

 

 

「22年4月 パワハラ防止法義務化」

 

 

来るのが遅いしまだ早い。

この2つの矛盾した感情が心の底から湧きました。

同世代の役職に就かれている方はわかっていただける感情だと思います。

散々上から理不尽に痛めつけられてきて、いざ自分がその立場になったら何もできず、何か言ったらハラスメント扱いされるので上からストップがかかる。

「もう勘弁してくれ・・・」

この一言に尽きるのではないでしょうか。これぞ理不尽と保身の極み。

相撲協会かよ。

 

社会には囚人のような扱いをされている人がおり、そんな会社が平然と存在している事を知っています。

そういう人達を救い、腐った組織を罰する為の法律でもあると理解しています。

ただそれでも、世の中にはそれを逆手にとり、権利の主張だけをする人がいるのも事実で、親ガチャや上司ガチャなどと人前で平気で言う輩がいることも事実です。

 

現場に行くと、たまに職人の声が聞こえてくる時があります。

「何回言わしよらぁ!!もう辞めえ!」「●●●●●●●●(不適切な発言)」

そこはもう治外法権。何かしらこう、懐かしさすら覚える光景です。

 

職人の世界では上司⇔部下の関係ではなく、師匠と弟子です。

大工・電気・左官や板前・工芸職人などあらゆる職人の世界は生半可では無く、何年も修行して耐えて、精神と技術を受け継ぎ、やっと一人前として免許皆伝になるわけですから、それは厳しい特殊な世界です。

 

私達も施主様の家を建てるという大義名分がある以上、手を抜くわけにはいかないのです。

家族の生命と財産を守る家。一生に一度の買い物。

施主様は一生をかけてローンを支払うのですから。

そんな中、ナメた考え方や無責任さが見えると頭にくるのは当然のことで、怒鳴ることもありましょう。

 

だから怒って何が悪い。

 

ただ、今の時代に私が会社の中でこれをやると、

メイン[告訴]・サイド[不法行為]・お会計[損害賠償]のハッピーセットを社会からご馳走されます。

なので、これからはキレる意図をあらかじめ事前に丁寧に説明して、これはハラスメントではございませんと周囲に理解と同意をもらってから机を蹴り上げないと駄目だということになります。

 

なぜ怒りの対象にお伺いをたてないといけないのか。

で、「もう勘弁してくれ・・・」となります。

 

 

語弊のない様に言っておきますが、私はパワハラ防止法には賛成です。

ただ、パワハラを防止するには法の規制だけではなく、家庭であり学校であり会社であり、起こさせない為の道徳教育が大前提だと思うのが個人的な感想です。

エジプトの壁画に「最近の若い者は・・」と愚痴が書かれていたという話は有名です。

5千年前から何も変わっていないのですから、本当に人が進化するにはあと何万年もかかるはずです。

社会から永遠に犯罪が無くならないのと同じですが、罪と罰という抑止力のバランスを考えないとモラルが崩壊していく気がしています。

 

皆様のお勤め先や周りの環境はいかがでしょうか?

 

いろんな考え方や意見もありましょうが、

今回は少しデリケートな話題を取り上げてみました。

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