石川 暁章

失敗談①「登記決済」

 

住宅や土地を買う方は、ほとんどの方が一生に一度の買い物になるかと思います。

契約するのはわかるけど、、、登記ってナンデスカ?と聞かれることがあります。

知らなくて当然だと思います。

私もこの業界に入るまで登記なんて言葉は知りませんでした。

 

不動産登記とは、土地や建物の所在や権利関係などを、国で管理する帳簿に記載してもらう一連の手続き(制度)のことです。わかりやすく言えば。

要は誰の持ち物なのか、どこにあるのか、どこに幾らお金を借りているのか。

ちゃんと資格を持った司法書士などの先生が帳簿に記載する法的な手続きの事です。

 

実は登記に関して私は苦い思い出があって、ちょっとしたトラウマ事があります。

 

24歳で不動産会社に入ったのですが、入社して2か月目で土地の決済があり、社長に同行して某銀行の応接室で取引をすることになりました。

すべてが初めてのことなので、緊張しながら部屋の片隅に座り、周りを見ながら仕事を憶えていました。

現金取引だったので、机の上に〇百万の現金が積まれたのを見た時、初めて目の前で札束が積まれていく様子を見た興奮と緊張で胸が高鳴ったのを今でも覚えています。

 

その時です。

社長「おい、これ全部すぐ数えて」

私「・・・・あ。わ、わかりました・・」

こんな大金を数えた事がない。どうしていいのかわからず、数え間違えたらいけないので、

机の上に、一枚。二枚。三枚。四枚。・・・

番町皿屋敷のお菊です。・・一枚たりない・・・って冗談を言える勇気もありません。

 

社長「いい加減にしろ!札の数え方もしらんのか!!」

売主や買主、司法書士や関係者一同の皆の前。銀行中に響き渡ったのではないかというぐらいの大怒号です。怒られすぎて10分ぐらい取引が中断しました。

 

帰りの車中でも鼓膜が破れんばかりの大説教です。

 

住宅・不動産は取引額が大きいし、お金も満足に数えられない事は話にならんという事で、反省し、家に帰って新聞紙をお札の形に100枚切って、その日から延々と数える練習をした事を思い出します。

当時は今と違って新人教育も厳しい時代でした。

 

仕事の内容だけでなく、社会人としてどうあるべきか。

その場所、状況に対してどうあるべきかの所作も教えてくれました。

 

今の時代、一歩間違えればハラスメントで訴えられたり、すぐ辞められたりするので、仕事の内容は教えても所作までは教えられないのではないでしょうか。

 

 

いつも登記と聞くたびに、この失敗した事と教えてくれた感謝の気持ちを思い出します。

 

 

 

 

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