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断熱等級4とは?寒い冬でも快適な家づくりを実現するためのポイント

2025年、新築住宅の断熱性能に関する基準が大きく変わります。
断熱等級4が最低基準となるため、これから家を建てる方は「断熱等級4って本当に大丈夫?」と不安に感じているかもしれません。
冬は寒くないだろうか、光熱費はどれくらいかかるのだろうか…様々な疑問が湧いてくるでしょう。
今回は、断熱等級4の住宅の寒さについて、UA値や地域差、生活スタイルといった観点から検証し、その実態に迫ります。
断熱等級4と5の違い、光熱費への影響、そして2025年からの法改正についても、具体的な数値や事例を交えながら解説します。

断熱等級4の寒さ対策

UA値と快適性の関係

住宅の断熱性能を表す指標の一つにUA値(外皮平均熱貫流率)があります。
UA値は、住宅全体の熱損失量を外皮面積で割った値で、数値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。
例えば、UA値0.85W/㎡Kの住宅とUA値0.5W/㎡Kの住宅を比較すると、後者の方が断熱性能がはるかに高く、暖房効率も向上します。
断熱等級4は、UA値によって判定されますが、その数値だけでは室内の快適さを完全に示すわけではありません。
同じ断熱等級4でも、窓の種類(例えば、複層ガラスかトリプルガラスか、Low-Eガラスの有無など)、配置(日当たり、風の影響など)、建物の形状(例えば、コンパクトな形状か、複雑な形状か)、気密性(C値の数値など)などによって、体感温度は大きく変わります。
高性能な窓として、トリプルガラスLow-E複層ガラスを採用したり、適切な換気システム(第1種換気システムなど)を導入することで、UA値が同じでもより快適な空間を実現できます。

地域による寒さの違い

日本の地域によって気候は大きく異なります。
北海道と沖縄では、必要な断熱性能が全く違います。
断熱等級4でも、温暖な地域である九州南部であれば快適に過ごせる可能性が高い一方、寒冷地である北海道では暖房費が高くなったり、寒さを感じることがあるかもしれません。
例えば、同じ断熱等級4でも、北海道では床暖房の導入が必須となるケースが多く、光熱費への影響も大きくなります。
地域区分ごとに定められた基準を満たしているとはいえ、地域特性を考慮した断熱設計が重要です。
具体的には、地域気候区分の区分に基づき、適切な断熱材の厚さや種類を選択する必要があります。
寒冷地では、高性能な断熱材を使用したり、断熱材の厚さを増やすことで、より快適な住環境を実現できます。

生活スタイルの影響

家族構成や生活スタイルによっても、断熱等級4の住宅の寒さへの感じ方は異なります。
例えば、高齢者や小さな子供がいる家庭では、温度変化に敏感なため、断熱等級4では寒さを感じる可能性があります。
高齢者は体温調節機能が低下しているため、室温の低下を特に感じやすく、小さな子供は体温調節機能が未発達なため、寒さの影響を受けやすいです。
また、在宅時間が長い方や夜型の生活を送る方は、室温管理に気を配る必要があります。
例えば、在宅ワークが多い家庭では、室温を一定に保つための工夫が必要となるでしょう。
また、夜型生活を送る場合は、就寝時の室温管理に注意が必要です。

断熱等級4のメリット

断熱等級4は、2025年以降の最低基準となりますが、決して低い性能ではありません。
断熱等級3と比較すると、光熱費を大幅に削減できる可能性があります。
例えば、断熱等級3の住宅と断熱等級4の住宅を比較した場合、年間の光熱費を10万円以上削減できるケースもあります。
これは、燃料費の高騰が続く現状において大きなメリットとなります。
また、断熱性能の向上は、結露の抑制にもつながり、カビやダニの発生リスクを軽減する効果も期待できます。
結露は、建物の劣化や健康被害を引き起こす可能性があるため、断熱性能の向上は住まいの耐久性向上にも貢献します。

断熱等級4と5の違い

UA値の比較

断熱等級4と5では、UA値に明確な差があります。
断熱等級4のUA値の上限は1.0W/㎡K程度、断熱等級5は0.7W/㎡K程度です。
断熱等級5の方がUA値が小さく、より高い断熱性能を有しています。
この差は、使用する断熱材の種類(例えば、グラスウール、セルロースファイバー、発泡ウレタンなど)、厚さ、窓の性能(複層ガラス、トリプルガラス、Low-Eガラスの有無など)によって生まれます。
例えば、断熱材として高性能な発泡ウレタンを採用したり、トリプルガラスLow-E複層ガラスを使用することで、UA値を大幅に低減できます。

光熱費への影響

UA値の差は、そのまま光熱費に影響します。
断熱等級5の住宅は、断熱等級4の住宅と比べて、暖房費や冷房費を削減できる可能性が高いです。
その削減幅は、地域や気候、生活スタイルなどによって異なりますが、10%以上の削減効果があるとされています。
これは、年間数万円から数十万円の節約につながる可能性があります。
例えば、寒冷地で暖房を多く使用する家庭では、より大きな光熱費削減効果が期待できます。

快適性の違い

断熱等級4と5の住宅では、室温の安定性に違いがあります。
断熱等級5の方が室温の変動が少なく、より快適な室内環境を実現できる可能性が高いです。
特に、急激な温度変化に弱い高齢者や子供がいる家庭では、この快適性の差は大きいかもしれません。
具体的には、断熱等級5の住宅では、室温が安定しているため、ヒートショックのリスクを軽減できる可能性があります。

断熱等級4と光熱費

光熱費シミュレーション

実際の光熱費は、住宅の断熱性能だけでなく、住む人の生活習慣(例えば、窓の開け閉め、暖房の使用時間など)、使用する家電製品の種類(例えば、省エネ家電の使用状況など)、電力料金プランなど様々な要因に影響されます。
そのため、断熱等級だけで光熱費を正確に予測することは困難です。
しかし、断熱等級4と5の住宅を比較したシミュレーション結果を見ると、断熱等級5の方が光熱費が抑えられる傾向にあることがわかります。
シミュレーションでは、地域、家族構成、生活スタイルなどを考慮して、具体的な光熱費を試算します。

省エネ対策の効果

断熱性能を高める以外にも、窓に断熱フィルムを貼ったり、省エネ家電(例えば、高効率エアコン、LED照明など)を使用したりすることで、光熱費をさらに削減できます。
これらの対策は、断熱等級4の住宅でも効果を発揮し、快適な室内環境と家計への負担軽減を両立させる助けとなります。
例えば、断熱フィルムを貼ることで、窓からの熱損失を約30%削減できる場合があります。

断熱材の種類による違い

断熱材には様々な種類があり、それぞれ断熱性能が異なります。
グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、発泡ウレタンなど、それぞれ熱伝導率が異なり、断熱性能に影響します。
高性能な断熱材を使用することで、UA値を小さくし、光熱費の削減効果を高めることができます。
断熱材の厚さについても、厚いほど断熱性能は向上しますが、コストとのバランスも考慮する必要があります。

2025年基準と等級4

法改正の影響

2025年4月から、新築住宅の断熱性能に関する基準が改正され、断熱等級4が最低基準となります。
これは、省エネルギー化と地球温暖化対策の観点から重要な変更です。
これにより、より高い断熱性能を備えた住宅が普及することが期待されます。
この法改正は、日本の住宅のエネルギー効率を向上させ、CO2排出量削減に貢献することが期待されています。

今後の住宅選び

今後住宅を選ぶ際には、断熱等級だけでなく、UA値、窓の性能、換気システム、断熱材の種類なども考慮することが重要です。
快適で省エネな住宅を選ぶことで、健康的な生活を送ることができ、家計への負担も軽減できます。
単に断熱等級4をクリアしているかだけでなく、より高い断熱性能を持つ住宅を選ぶことで、将来的なランニングコストの削減や快適性の向上につながります。
例えば、長期的な視点で住宅を選ぶ際に、光熱費の削減効果を考慮することは重要です。

まとめ

断熱等級4は2025年から新築住宅の最低基準となりますが、寒さを感じるかどうかはUA値、地域、生活スタイルなど様々な要因に左右されます。
断熱等級5と比較すると、UA値は大きく、光熱費も高くなる傾向があります。
しかし、省エネ対策(例えば、窓への断熱フィルムの施工、省エネ家電の使用、適切な換気システムの導入など)を適切に行うことで、快適性と光熱費のバランスを保つことが可能です。
2025年からの法改正を踏まえ、快適性と省エネ性を両立した住宅選びを心がけましょう。
将来的なランニングコストや健康面も考慮した上で、最適な住宅を選んでください。
例えば、住宅展示場などで実際に住宅を見学し、体感することで、より適切な判断ができるでしょう。

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