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住宅ローン減税の適用期間とは?10年と13年の違いと賢い選択方法

マイホーム購入は、人生における大きな決断です。
その実現に向けて、住宅ローン減税は大きな助けとなる可能性を秘めています。
しかし、制度の複雑さから、その適用期間や要件、控除額の計算方法などが分かりにくく、不安に感じている方も少なくないでしょう。
この制度を正しく理解することで、賢くマイホーム取得を進めることができます。
今回は、住宅ローン減税の適用期間を中心に、制度の全体像を丁寧に解説します。
スムーズなマイホーム購入に向けて、ぜひ最後までお読みください。

住宅ローン減税の適用期間

10年と13年の違いとは

住宅ローン減税の適用期間は、10年または13年のいずれかです。
この期間の長さは、住宅の省エネルギー性能によって決まります。
省エネルギー性能が高い住宅(長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅など)であれば、最長13年間の適用が可能です。
一方、省エネルギー性能が低い住宅(その他の住宅)は、10年間の適用となります。
13年間にわたる減税は、より大きな節税効果が期待できるため、省エネ性能の高い住宅を選ぶことは、経済的なメリットにも繋がります。

適用期間の決定方法

適用期間は、住宅の建築確認を受けた時期と、省エネ基準の適合状況によって決定されます。
2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅の場合、省エネ基準を満たしていないと、住宅ローン減税の適用自体が受けられません。
2023年12月31日までに建築確認を受けた住宅、または2024年6月30日までに工事が完了した住宅は、省エネ基準を満たしていなくても、借入限度額2,000万円、控除期間10年で適用を受けることができます。
中古住宅の場合は、省エネ基準適合住宅であれば3,000万円、その他の住宅であれば2,000万円が借入限度額の上限となり、いずれも控除期間は10年です。
つまり、適用期間は住宅の種類や建築時期、省エネ性能によって大きく変わるため、事前に確認することが非常に重要です。

期間短縮の可能性

繰り上げ返済を行うと、住宅ローン残高が減少するため、控除額も減少します。
繰り上げ返済は、金利負担軽減というメリットもありますが、控除期間の残りの期間と控除額の減少分を比較検討し、総合的に判断する必要があります。
繰り上げ返済による節税効果の減少を避けるためには、返済計画を綿密に立て、専門家への相談も有効です。
また、金融機関によっては繰り上げ返済手数料が発生する場合もあるので、手数料も含めたトータルコストを計算し、最適な返済方法を検討することが大切です。

住宅ローン減税の適用要件

所得制限の確認方法

住宅ローン減税の適用を受けるには、所得制限があります。
具体的には、住宅ローン契約者の年間合計所得金額が2,000万円以下であることが必要です。
ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の新築住宅で、かつ、その年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、適用が可能です。
所得制限の確認は、確定申告に必要な書類(源泉徴収票など)を確認するか、税務署に問い合わせることで行えます。
確定申告書の作成には、税務署や国税庁のウェブサイトにある計算ツールを使用すると、正確な所得金額の算出に役立ちます。

床面積と住宅ローン減税

一般的に、住宅ローン減税の適用を受けるには、住宅の床面積が50㎡以上である必要があります。
しかし、合計所得金額が1,000万円以下の場合、2024年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅であれば、床面積が40㎡以上でも適用を受けることができます。
この床面積要件は、住宅の広さだけでなく、家族構成やライフスタイルにも影響を与えるため、慎重に検討する必要があります。
特に、小さめの住宅を検討している場合は、所得制限との兼ね合いを考慮することが重要です。

省エネ基準への適合

2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準を満たしていないと住宅ローン減税の適用を受けられません。
省エネ基準を満たす住宅には、長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅などがあります。
これらの住宅は、高い断熱性能や省エネルギー設備を備えているため、ランニングコストの削減にも繋がります。
省エネ基準への適合状況は、建築確認済証や住宅性能評価書などで確認できます。
省エネ性能の高い住宅を選ぶことは、環境への配慮だけでなく、経済的なメリットも享受できるため、積極的に検討することをお勧めします。

住宅ローン減税の控除額計算

控除額の算出方法

控除額は、年末時点の住宅ローン残高に0.7%を乗じて算出されます。
例えば、年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合、控除額は3,000万円×0.7%=21万円となります。
ただし、住宅の取得価格や費用の額がローン残高よりも少ない場合は、その金額が控除額の上限となります。
また、所得税額が控除額を下回る場合は、所得税から控除しきれなかった分は翌年の住民税から控除されます。
住民税からの控除額には上限があるため、控除額を正確に把握するためには、税理士などの専門家に相談することも有効です。

確定申告の手順と必要書類

住宅ローン減税を受けるには、住宅に入居した翌年に確定申告が必要です。
確定申告には、源泉徴収票、住宅借入金等特別控除額の計算明細書、住宅ローン借入金の年末残高等証明書、登記事項証明書、不動産売買契約書(請負契約書)の写し、本人確認書類などが必要となります。
これらの書類は、勤務先、税務署、金融機関、不動産会社、法務局などで入手できます。
確定申告は、税務署の窓口、郵送、またはインターネットでも行えます。
インターネットでの申告は、国税庁のウェブサイトから確定申告書作成コーナーにアクセスして行うことができ、計算も自動で行ってくれるため便利です。
確定申告の手続きに不安がある場合は、税務署に相談することをお勧めします。

2024年以降の住宅ローン減税

省エネ基準の変更点

2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準を満たしていないと住宅ローン減税の適用を受けられません。
省エネ基準は、住宅のエネルギー消費量や断熱性能に関する基準であり、環境問題への配慮と住宅の省エネルギー化を促進するためのものです。
省エネ基準に適合しない住宅でも、2023年12月31日までに建築確認を受けた場合や、2024年6月30日までに工事が完了した場合は、条件付きで適用を受けることができますが、控除期間は10年、借入限度額は2,000万円に制限されます。

借入限度額の変更

2024年の税制改正により、新築住宅および買取再販住宅の借入限度額が引き下げられました。
ただし、19歳未満の子どもがいる世帯や夫婦のどちらかが40歳未満の世帯(子育て世帯・若者夫婦世帯)については、この借入限度額の縮小は適用されず、2023年と同様の限度額が適用されます。
この措置は、子育て世帯や若者夫婦世帯への支援強化を目的としています。
借入限度額は、住宅の種類や省エネ性能によっても異なるため、事前に確認することが大切です。

子育て世帯への優遇措置

19歳未満の子どもがいる世帯や夫婦のどちらかが40歳未満の世帯は、2024年も2023年と同様の借入限度額が適用されます。
これは、子育て世帯や若者夫婦世帯への住宅取得支援を目的とした措置です。
住宅取得は大きな費用を伴うため、このような優遇措置は、これらの世帯にとって大きな経済的なメリットとなります。
ただし、省エネ基準を満たさない新築住宅や買取再販住宅については、住宅ローン減税の適用を受けられない点には注意が必要です。

まとめ

住宅ローン減税は、住宅の省エネ性能や所得、床面積、建築時期など、様々な条件によって適用期間や控除額が異なります。
特に2024年以降は、省エネ基準の厳格化や借入限度額の変更など、制度内容が大きく変わっています。
10年と13年の適用期間の違い、適用要件、控除額の計算方法、そして2024年以降の改正点などを理解することで、より有利に制度を活用できます。
マイホーム購入を検討する際には、これらの情報を正確に把握し、専門家への相談も検討しながら、最適な住宅ローンと返済計画を立てることが重要です。
不明な点は税務署や専門機関に相談し、安心してマイホーム取得を実現しましょう。

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